2015-09-25

ぼくのミックスジュース

何かを商品を買って「人生が変わった」とまで思うことはあまりなく、数日たったら飽きてしまって使わなくなってしまうことのほうが多い私にとって、ジューサーミキサーとミルを買うかどうか長年迷いに迷ってきました。小さなフードプロセッサーならあるんですよ。でもミキサーほどは細かくなめらかにはなりませんよね。

数年前までミキサーって収納に困るなんて程度のものではなく、どこに置けばいいんだ!と思うほど大きなものしか売ってなかったと思うのです。文字通り小さく小さく暮らしている我が家の場合、置き場所がない。ですが、2年ぐらい前から、3000円ぐらいで買える小さなミキサー&ミルを見かけるようになりました。「これなら洗うのも、洗った後に水を切るのも簡単そう」

そしてついに先月末に購入したわけです。小泉成器のミルミキサー(KOIZUMI KMZ-0400/W)。デザインもすっきりしていていいかなと思いまして。

以来、毎朝、バナナと牛乳と氷をベースにいろんな果物を切って入れては飲んでいます。人生変わりました。午前中しゃきっとしますし。

私は小さい頃から朝ご飯がのどが通らず(私の場合は朝ご飯に限らないのですが)、朝食を食べる時間が億劫に感じてしょうがありませんでした。でも、このまま食べなかったら昼ご飯までにお腹がすいてしまうし、ましてや静かな場でお腹が鳴ってしまったら恥ずかしいので、無理矢理食べていました。でもジュースならばのどの通りもいいし、結構お腹に持ちます。400㍉ぐらい飲むことになっても、食べることを考えたら簡単に飲めますし。

で、すっかりうれしくなった私は、家族に「人生変わった変わった!」と話すわけですが、誰も理解できないようです。「果物は切ってそのまま食べればいいし、牛乳は牛乳で飲めばすむだけなのに」と。
「それがしんどいからミックスジュースにするんだ!」というのがぴんとこないらしい。

そしてふと思い出したのです。

私は子供の頃から食べるのが(正確に言うと食べ物を噛んだ後に飲み込むのが)遅く、「21世紀の食事は錠剤を2、3個摂取するだけで済むだろう」という予測を小学生向けの雑誌で読んだときには「それはすばらしい!」と思いました。そんな未来を待ち遠しく感じていました。ところが21世紀に暮らしてみると、食事はむしろ多彩になり、豊かになり、しかも食事をとるという行為がもたらす社会的な重要性は、私の子供の頃よりもずっと高く評価されているようにみえます。実際、大学時代を過ごした90年代でさえ「もし錠剤で十分な栄養がとれておなかいっぱいになるのなら私はそれで満足。宇宙食みたいな食事で十分」などとうっかり友人に話すと、精神的に病んでいると心配されたものです。

器用だった私の母はむしろ料理は上手なほうで、後にはその腕を生かした仕事に就いたほどです。だから子供の頃においしいものを食べさせてもらえなかったわけではありません。あまり食べられずに母を困らせていた私が言うのも変ですが、母の料理は見た目もきれいだし、食べてもおいしいし、今でも実家で食べさせてもらっていた頃を懐かしく思っています。だから食事に対する感謝の心がないというわけでもない。それどころか母には感謝しています。

だからこそ思うのは、食事をとる行為だって日常の一つなのだから、好きだろうと嫌いだろうとそんなのは人それぞれだということ。たとえば掃除洗濯が嫌いと言ったしても、ただのだらしない人と見られる程度で済まされますし、実際私もそうですが、なぜ食に関することになると、食事にあまり執着がないと言ったら異常者扱いされなきゃいけないんだっていつも思ってきました。栄養摂取という意味での食事の重要性はまったく否定していないのに。

以前、フィギュアスケートの羽生結弦選手が「食べることにあまり興味がない」と発言したことがありましたが、それは決して栄養という意味で食事の効能を否定しているわけではないし、私はむしろそういう発言をする羽生さんに対しては非常に親近感をもったほどでした。そんな食が細い人でもオリンピックで金メダル取れるんだという意味でも。アスリートなのに食べるのがしんどいなんて、私よりも理解されないでしょうから、相当な嫌な思いや苦労をしてきたはず。

結局これって、他の人にとって難なくできることが自分にとって少し難しいこと、の一つなのかもしれません。だから先日のカフカの本もおもしろいなと思ってしまったのかもしれません。

自分にとって当たり前のことが世間もしかりだと思ったら大間違い(笑)

それでも、ミキサーのおかげでより多くの栄養が簡単に頭に回るようになったせいか、考え方はかなり前向きになったような気がします。やっぱり食事は大事ですね。



♪こいつをググッとのみほせば きょうはいいことあるかもね♪




2015-09-23

確かに読み終わったら元気がでるかも

先日この本を薦められました。
絶望名人 カフカの人生論

http://www.asukashinsha.co.jp/book/b94411.html
















発表時にずいぶん話題になった本のようで、いまでは文庫版も電子書籍版も出ていますし、漫画版、そしてさらにはゲーテとカフカの比較版というものもあるようです。

私は電子書籍で購入しましたが、楽々読めます。1時間もあれば読めてしまう。だからちょっと物足りなさを感じないわけでもありませんが、その1時間はひたすら共感してしまいました。

いろいろ考えているうちに書けなくなってしまってブログも1年以上放置してしまう私のような人間にとって、心当たりがあるようなことばかりなのです。SNSでさくさくと発信するよりも、発信されてくるものを目にするうちに飲み込まれそうになって遠のいてしまう私には、「ああわかるわかる」とうなずかされっぱなし。ネットに限らず、他の人がふつうに、いとも簡単にできて消化できることが、自分にとってはおおごとで難しくなってしまって喉に詰まってしまうあの感じ。

「散歩をしただけで、疲れて三日間何もできない」
という題を読んで、すっごくわかる!って共感できるかどうかで、この本が楽しめるかどうかがわかれるように思います。この言葉、この本のなかで私の心に一番響きました!


絶望名人カフカの人生論
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著者:フランツ・カフカ
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