2012-05-14

久しぶりの小説

久しぶりに小説の翻訳に携わりました。この作品です。


http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/211859.html 死せる獣―殺人捜査課シモンスン―
ロデ&セーアン・ハマ著『死せる獣―殺人捜査課シモンスン―』早川書房











デンマーク語のオリジナルから訳されたフランス語版からの重訳になります。

さて、図書館のサイトで〝デンマーク〟をキーワードに本を検索すると、この国のすばらしさについて述べられた書籍ばかりひっかかります。福祉制度しかり、教育制度しかり。〝世界一幸福な国〟とまで形容されています。それは事実なのでしょう。

翻ってこの本を読んでみますと、そうした幸せな社会のB面が見えてくるような気がします。何ともいえない閉塞感があるのです。老人ホームに勤める看護師の女性、結婚のために一度学業をやめて家庭に入ったけれども夫に先立たれてから復学し講師にまでなった女性、子どもを出産し育児しながら勉強しやっとの思いで医師になった女性(でも同業で自分よりも地位の高い夫は育児や家事を妻にまかせてばかり)なども登場します。そして本書のテーマの中核を成す小児性愛問題……。そうした視点から読んでみるのも面白いと思います。

私にとって新鮮だったのは、デンマークでは観戦スポーツとしてハンドボールが人気だということです。知りませんでした。デンマークってハンドボール発祥の地なのだそうです。




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