2014-05-16

サインいただいてしまいました。

セドリック・ヴィラーニ先生にサインいただきました。


日本語版に数学が出来ないにもかかわらず共訳者の一人として携わるにあたって、諸事情から原書をいただかないままでいました。
色々書き込みやすいので、私は原書の紙コピーでいいです!と版元さんにも仲介していただいている翻訳事務所さんにも申し上げたまま、何の問題も感じることなく翻訳作業をして過ごしていたのです。

3週間ほど前にセドリック先生が来日すると聞いたとき、ついにお目に掛かれるのかと嬉しくなったわけですが、「苦労したフランス語版の本にサインいただけたらうれしいなあ」と思いました。そこで、Grasset社の初版を購入しようと思って、国内で色々探したのですが、在庫がないと言われて…。

ゴールデンウィーク挟んでしまうので、フランスから取り寄せるのも間に合うか微妙な納期。

フランス語の書籍をすぐに日本で手に入れようと思い立つと、問い合わせる書店が3~4店ぐらいあります。今回、Folio版の在庫ならあるということで取り置いていただいた欧明社さんに連休明けに買いに行きました。

このネット通販のご時世に、涙ぐましい努力の末に確保したわけです。

でもよく考えてみたら、サインいただくなら日本語版でもよかったかも…などと。

というのも、セドリック先生は、日本語版の挿絵の印刷具合のほうが、オリジナルのフランス語版よりきれいだと、とても喜んでいらっしゃったからです。そうですよね、日本の単行本は紙質がいいもの。

そして巻末のテキストが鵜飼正二先生がセドリック先生のフィールズ賞受賞を『数学セミナー』誌で紹介した原稿だということを知って、それはもう喜んでいらっしゃいました。
鵜飼先生がお亡くなりになられたときに、セドリック先生は英語で追悼文をご自身のブログに載せています。まるで、今回日本語版が出るにことになって、鵜飼先生からお返事をいただいたような感じがしたとのことです。

数学が出来ない私がこのエピソードに触れるのもおこがましいのですが、セドリック先生のお人柄がわかる印象的な出来事でした。

ともかく、サインいただいた本は私の一生の宝物です。

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