2018-04-13

他人事ではないマクロンの「革命」


誤解されているようですが難しく書いてある本ではございません。
確かに原書を読んだときは、この人1977年生まれなの? 1877年じゃなくて?とずっこけそうになりましたが。

難しい言い回しをしないでほしいという版元さんのご要望のもと、共訳者の山本知子さんが正確に意味を汲み取って読みやすくしています。
初稿直しの時、その過程で、意味が誤解されるかも、本意から離れたかもという箇所、あるいは編集部によるものも含めてその過程での事実誤認で赤入れされたところが間違っていると確認したものは、意味が原書に近くなるよう、私自身もこういう意味であのことを指しているのではないかと随分訂正入れさせていただきました。



仕上がった本を読み返してみても、少なくとも自分のお子さんが社会人として暮らす時代はどうなるのか、著者つまり現フランス大統領は「こうあるべき」「こうなるから今のうちに手を打たないとまずい」と述べておりますが、私はかなり「こうなるだろう」という的確な予言をしているのではないかと思っております。

フランスはもともと補助金出せばいいやと気前よく金を出すだけで、補助金を出さなければいけない原因の抜本的な改善をすることなく、ただ困ってる業界や人々に金だけ与えてその場を凌ぐというやり方をつづけてきました。その気前のよさは日本では賛美されていたわけです。いまでもその背景が抜きにされているがために、賛美されて続けているでしょう。一番わかりやすい背景を言えば、いかほどの収入であっても源泉徴収で引かれる率が、つまり税金が日本よりずっと高い国です。そして再分配がずさんなんです。
さらに悪いタイミングが重なり、特にサルコジ政権のときに財政出動しすぎて大きな財政赤字を抱えています。
それでも日本のあのふざけた財政赤字に比べればかわいいものです。

ですからユーロ圏からバックレれて自国通貨にしたらそれが一旦リセットされる、解決するとか甘っちょろいこと言う政治家ばかり大統領選でも出てきました。
仮にそれが功を奏しても、その赤字になる要因にてこを入れなきゃ先送りにしかならない、また赤字増えていくんじゃないの?という根本的な疑問は現大統領以外は誰ももたないようでした。いえ、もってても「言わないんです」。

たくさん使わなければいけないところとそれほど使わなくていいところを精査しないと、という話がこの本には書かれています。マクロンに対して「元銀行員」「大企業優遇」といった先入観をお持ちの方は彼の優先順位のつけかたに驚かれるのではないでしょうか。失業保険のどこに問題があるかという指摘にいたっては爆笑ものですよ。そして私のようなフリーランス業をしている人間にとっては泣けました。是非お読み下さい。

といっても、そういった「仕分け」話は日本人にとって民主党政権時代の蓮舫がトラウマで嫌いなのかもしれませんが。

ところで日本も同じような空気が流れていませんか?
日銀から国は借金をして国は日銀に返すんだから借金のうちに入らない。だから金を使いまくってもいいという論法ですが、その額はアベノミクスのおかげでとんでもない額にのぼっています。
私、完全なる金融素人なのですが、もう一つもハードルを倒せないソフトランディングできないレベルなんでしたっけ?
詳しい人は国外に自分のお金を持ちだしてるだろうから大丈夫なのかもしれません。

ただ、先般の衆議院選挙で候補政党のどこがその恐ろしさを一応口に出して指摘したでしょうか?  一応口にした政党、それが維新だけだったことにこの本に当時向き合ってた私は愕然としました。あとは、言及しようとしたけれども、そのためのやり方があまりにもずさんでそこまで至らず失脚した前原氏ですか。

私は自分の息子が何をどうやっても、親や祖父や曽祖父の「無自覚な」借金のせいで、バイトの賃料が上がった、日本の景気はいいんだという戯れ言に惑わされて、結局自分は報われてはいないという社会に生きてほしくないな、と思ってます。

興味を持っていただければ幸いです。

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