2018-04-13

エマニュエル・マクロンの自著

本日4月6日、ポプラ社より発売になります。
エマニュエル・マクロン現フランス大統領が、いまから2年ほど前に大統領選出馬を決めたときに執筆し、本国では1年半ほど前に出版された彼の自著の日本語版です。

エマニュエル・マクロン (著), 山本 知子 (翻訳), 松永 りえ (翻訳)『革命 仏大統領マクロンの思想と政策』


ここのところこのブログの次のエントリーで少しマクロンにからめていたのはこの本が理由でした。


実際に日本人の読者にとって、マクロンによるフランスでの政策に興味があるかないかといえばないと思います。ですが、この本を読めばきっとフランスの抱えてきた根深い、根深い社会問題がよくわかると思います。それは意外と日本では知られていないことであり、また一方で、日本にも非常に当てはまる、身につまされる部分もあります。


彼ほど先入観やイメージで語られている政治家は珍しいのかもしれません。

そして、この1~2年、どれほど多くの日本の政治家が(といってもおつきのブレーンや官僚でしょうけど)ここに書いてある彼の言い回し、政策を真似しようとしてきたかわかるでしょう。

でもですね、文脈もその根底にある理念・理想を無視して、理解もせずに日本で真似しようってったって頓珍漢なんですよ。

政治家は絶対にこの本を読むべきです。そして少し自分の根性を叩き直したほうがいいと思いますよ。
いいですか、人に読んでもらってどんな本なのか教えてもらうんじゃなくて、自分で読むんです。
そして日本社会に対する勉強不足を恥じてほしい。

この人、どんなに偉そうで、仮にものの言い方が上から目線に見えたとしたとしても、ものすごくフランス社会のいいところ、悪いところを広くあまねく、的確にわかっているのではないかと思います。なぜか海外県や準県についてのボケ発言はしょっちゅうありますが、それでもものすごい勉強量と頭の良さに負うところは大きいと思います。

私は今からちょうど1年ほど前、フランスのネットニューステレビ番組でフランス大統領候補者15人の討論会の中継を面白がって見ていました。

その中の12人はなんとEUに反対という立場をとっていました。まあ正確に言うと11人かな、極左のナタリー・アルトーは「ユーロだろうとフランだろうと、私たちはまともな賃金をもらってないことには変わらん!」と言ってたから。
当時の与党からの出馬のアモン(そりゃEUに反対なんてできないです)、緊縮財政を訴えた右派のフィヨン(ただし勤務実態がない奥さんに長年、秘書として多額の報酬を支払っていたというスキャンダルのせいでボロボロ状態)、そしてマクロンだけがEUに賛成という立場をとっていたわけです。

その12人(といってもいわゆる労働組合から出ているド左翼のアルトーとプトーはEUほど広い視野で話していたわけじゃないので10人かな)の話をいろいろ聞いていて私が思ったのは、みんなフランスの財政赤字とかまだあまりよく回っていない経済状況をユーロやEUのせいに、つまり他人のせいにしているだけじゃんってことなんです。

いくらそれがドイツの一人勝ちのせいだからと言って、単に他人のせいにするなんて簡単ですよ。それでEUから抜ければいいとかね。それで支持を集めるのは簡単。あの15人の討論会を見た時に、私は割と人気を集めていたそれこそ極右のマリーヌ・ルペンや左翼のメランションに対して冷めました。有権者じゃありませんが。

ヨーロッパ統合の良さを、まあ、当時のほとんどのフランス人は信じなかった、実感しなかっただろうけど、それを話せばわかってもらえると思って訴えているマクロンが変に、そうなぜか変に誠実に思えてしまったわけです。

会ったことはありませんが、この方は私が知る限りの人々の中ではかなり変人の部類に入ると思います。でも、この本を読んだ限りでは、根っこのところで割と誠実なのではないかという気がします。政策が成功するかしないかはともかくね。

なので、この先フランスがどのようになっていくか、今も国鉄ストで大変なことになっているみたいですが、なんだかんだ言ってもこの人、そこそこ支持されつづけるのではないかと。




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