2013-05-20

「日本料理の特徴は、『冷たい』『量が少ない』『味が薄い』『値段が高い』です」(『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』より)

著者曰く、「ダントツに取材がラクなのは台湾人」とのこと。

『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』という本を読みました。最初から最後まで面白かったです。

そもそも成田にタイの仏教寺院があるなんて知りませんでした。それに館山に移り住んだムスリムの多くがミャンマーのロヒンギャ族だとか、ニコライ堂は在日ロシア人のための教会とはいえないとか…。鶴見の工業地帯で日系ブラジル人が移り住んでいることはおよそ20年前には多少見聞きしていたとはいえ、その人々の先祖は沖縄からの移民だったという点は意識したこともありませんでした。

日本に住んでいながら知らないことはたくさんありますね。



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そう、私もこの本で指摘されているように、日本人って、外国人が「日本を好きかどうか」ということを結構気にすると感じていました。「(不満がまったくないと言えば嘘になるけど)まあまあ住み心地がいい」から暮らしている、というのは、どんな立場であっても、どこに住むにしても、もっともな理由だと思います。以下、一部引用です。

でも、中には高先生のように、「特に好きでもないけど、気楽」という人がいても不思議はない。実際、海外、例えば、バンコク辺りに住む日本人にはそういう人が多い。いや、海外を持ち出すまでもなく、東京や大阪で暮らす日本の地方出身者は少なからずそう思っているのではないか。

  高野秀行『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』講談社

確かにそこそこ満足するのが苦手というのは、日本人の特徴かもしれません。

もう一つ、この取材で私たちスタッフが感心したのは、外国人の人たちがおおむね日本の生活に満足し、幸せそうなことだった。「日本はダメだ」と聞き続け、思い続けている私たちには新鮮以上のものがあった。
 なぜ同じ国に住み、こうもちがうのか。だいたい外国人のほうが仕事にしても生活にしても日本人よりはるかに制約が大きく、厳しい条件にあるのだ。

  高野秀行『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』講談社

とても読みやすいし、読んだ後にすこし元気になりますよ。

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