8月10日予定通り出版になったようです。よろしくお願いします。
正確には9年前に一度出版され、大変日本では好評だったしかけ絵本ときいておりますが、このたび別の翻訳者から新装版が出版されました。その別の翻訳者というのが私になります。
まず、翻訳者が決まるまでに時間もかかったようです。
たとえばどういう翻訳者に頼みたいかという本音も依頼主さんにはあったようです。
ただ、この業界、つまり出版翻訳者も平均年齢がどうやら高齢化しているんですよね。
通訳業界も高齢化しているようだと先日ある友人から聞きました。
その友人はほんと優秀な人で、それを「落ち着いた年齢の方々が多い」と表現していました。
こういう言葉がすっと出てくる人、そしてそうした言葉を使えるのと使えないので、社会で出来る人とそうでない人が違ってくるのだろうなと心から感心しました。帰宅後メモしたほどです。
この大変なご時世、共働きじゃないとやっていけないと言われているこのご時世で、やはり若いうちは安定した生活の基盤が必要です。
つまり今の書籍出版翻訳の仕事は条件的に、とくに経済面において若いうちからそれに特化した形で仕事をするのはなかなかできるものじゃないと思います。それが現実です。たとえば若いうちに相当働いておいて事前に貯金をしておくとか、私のようにもはや生活費を配偶者に依存しているとか。実家暮らしでとりあえず雨風しのげて食事も確保されてるとか。
あるいは同じ業界だとしても別の翻訳者のマネージメントも引き受けたりしているなど、ほかのちゃんとした本職があるとか。翻訳とは別に執筆活動しているとか(それでも厳しいと思いますけど)
特にアカデミックな世界だと本業は研究者だったり。ただ、いまは兼業ではやってられないほど与えられる時間も少ないので兼業で「書籍」の翻訳をやっている方は少なくなったように思います。
私はこの仕事をやりたくてやっているわけですが、こういった条件がなければフリーランスとしてはここまで長い間続けることはできなかったでしょう。
それは以前のエントリにも書いたとおりです。
そうした状況を承知のうえで、私はお引き受けしました。
ある意味においていままでで一番苦労した仕事と言っても過言ではありません。
版権は切れていても翻訳著作権は?キャラクター名の権利ってどこまでがどうなっているの?……
こうしたことも勉強になりますね。
私まで話が来るまでにいろいろな介在があったわけですけれども、実際に作業中に一番その点を気にしていたのは、受注した私だったのかもしれません。
私が心配性なのか、悲観的すぎるのか、実は取り越し苦労なのかと思ったほど、違和感がなかったといえば嘘になります。
この業界ではかれこれ10年以上? 版権が切れた原作、あるいは翻訳著作権も切れた原作を別の翻訳者で出版すればある程度の売り上げは見込めるのではないかという出版モデルがあります。
旧版はとてもすばらしい翻訳絵本でした。旧版をご存じの方にとってこの新版の訳文がそれ以上になったと思えるかといえば、翻訳者の正直な気持ちと立場としては難しいです。
けれども、与えられた時間も含めて、制約があった中ではかなりベストに近いものにはなったのではないかと、個人的には思っています。
私が出来る範囲で、私の考えなりに、子どもたちとその親御さんたち、いまは保育者は親御さんだけではないですね、子供たちにかかわる大人たちの助けになるような本にしたいと思ったその気持ちには、嘘はないです。フェイク入っていません。
私自身、子供はひとりですがいるにはいます。ずいぶん大きくなりましたが、完本を見たら、保育園児や小学生の頃の「さわれる まなべる えほん」シリーズのように、ニコニコしながら喜んでくれそうです。よい原作とかわいい挿絵の絵本には、どんな年齢の人であっても心を癒やす力があるようです。
前作は大きいお友達向けの本で、まだお読みになっていない方は今からでも遅くないので是非お手にとってみていただきたいのですが、今回の本は読者の想定対象年齢が大幅に下がっております。どうぞよろしくお願いします。
小さなおともだちはこちら
大きなおともだちは相変わらずこちらもよろしくお願いします。
中ぐらいのおともだち向けにもなりそうな本は待っててね。
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