2018-08-30

感謝しかないざんねんな中二病的な思いすごし

一年に一度、お盆休みの頃に夫のお友達二人が遊びに来てくれます。うん、我が家の中まで入る非常に数少ない大人たちかもしれません。

そのうちの一人は外国在住で外国でお仕事をしている方なんですけど、外国といっても多くの日本人が暮らし、働いている都市にお住まいなので、会話の日本語はよく耳にしていらっしゃるようです。

でもちょっとした言い回しに違和感を覚えることはあるらしいんです。たとえば

「感謝しかありません」

と今の若い日本人はそういう言い回しをする、と。そんな言い方日本語であったっけ?と。

実は、そんなに変な日本語かな?、ああ、でも確かに最近の言い回しかもしれないと、そのときは思ったのですが、お帰りになった後、確かに本来の文脈からすると

「感謝してもしつくせません」とか
「感謝以外の言葉がみつかりません」とか

おそらくかつては言ってたものが、

「感謝しかありません」

に集約されたのかなと思い至り、膝を打った次第です。

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動物学者さんが「ざんねんないきもの事典」というタイトルに大変気を悪くされたようで、ごもっともなことをTwitterでツイートされていましたが、それを読んで「あれ?」って思ったんです。

たぶんこれ、うちの息子は「ざんねんないきもの」の「ざんねん」という言葉にそこまでネガティブな意味は感じていないはずと。

「残念」じゃなくて「ざんねん」という平仮名書きというところも、このタイトルをつけた版元や営業の方々、編集者さんたちのこだわりだと思われますが、実際、このタイトルをつけたのはこういういきさつがあったからだそうです。





この記事とおなじところの引用になりますが……
「生き物に関するこれまでの本は、“すごい”という面から見たものが多かったように思います。ちょっとざんねんに感じてしまう……けれども一生けんめいいきている、そんな新たな一面を知れば、生き物たちがより愛おしくなるのではないでしょうか」

「頑張っているのに、ちょっと惜しい!」といったニュアンスなんでしょうね。で、そう思われること自体が侮辱的という考えも言う側と言われる側で温度差があるかもしれないので、ううむ、これはきちんと我が子にも、言われる方はかならずしも「いい意味」や「励ましの意味」で取らない可能性があるということを教えなければ。

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もっと個人的な話になりますが、私の父が亡くなる1ヶ月ほど前に父が母のことをあることを言ってたのを思い出しました。

実は私は彼の直接的な身内のなかでは、亡くなる前1ヶ月間最も頻繁に直接顔を合わせ、話をしていた身内だったので、亡くなったときはそりゃあもう母をはじめとして親戚から「なんで(死にそうなことに)気がつかなかったの!」という非難の目を浴びたわけです。
…しかも母には言葉でしっかり「気がつかなかったあんたのせいだ」「なぜそこまであんたは鈍いのか」と非難されたわけなんですけど、ともかく亡くなる1ヶ月程前にもう別れて10年以上もたつ母のことを、私に父は話したんですよね。こんな感じ。

「お母さんはな、美人でおしゃれだし(……私は似なかったな)、気が細やかだし(……私は似なかった)、字も綺麗で(……私は似なかった)、料理も上手で(……私は似なかった)、はっきり言えばすごくちゃんとしているんだ。だからなあ、ちょっと何か言われると、『必要以上に』自分が『責められてる』って思ってしまうんだな」

ああ、今この言葉思い出してよかったな~って思いますね。これ、私の言動に対する注意だったんですよ。
私に言わせれば、なんでそんなことぐらいで気を悪くするのってこと多いんですよ。
なんで逆ギレされなきゃいかんのだと。
仮に自分のことだと思ったとして、指摘されたちょっとしたことを自虐的なギャグに落とし込んでもらえないというか。

私は決して母に感謝してなかったわけではないし、むしろ感謝はしてるんですよ。
でも、きっと「感謝される」こと、「愛される」こと、「称賛される」こと、「良い評価を受ける(自分のやったサービスの対価を受けることも含めてね)」こと、すべて違うことなのに同じこととしてごっちゃになってる人って、母に限らず世の中案外いるのかもしれないなと思った次第です。

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そういえば、私の息子の小学校高学年のころのあだ名は「中2病」でした。
本人もそう言われることによってちやほやされることが気に入ってて、周りからあてがわれたキャラに自分をあえて当てはめていたように思います。
担任の先生も三者面談でネガティブな意味でその言葉をうちの息子には使ってなかったように思います。
嘘偽りなく、息子はそのキャラで学校で愛されていたと思います。

けれども、いつか限界がくるんですよね。
そうした価値観の反転も、どんなに私のように常識が嫌いであっても、社会の常識というものの枠内で暮らしている以上、限界があるといいますか。

私の目には自分の息子の素の姿は、いわゆる本物の「中2病」キャラとはかけ離れているようにいつも映っていました。
具体例を挙げることは控えておきます。

ただ、それについては彼が中学生になってから、地元から離れた学校に行くようになってから繰り返し息子に話しました。「中2病」が本当にポジティブな意味だと思ってるなら、それは考え直した方がいいと。

わざわざ中2病キャラを演じることはないし、自分が中2病だと思い込むこともない、と。

ローカルルールがほかの地域からもお子さん方がやってくる学校では必ずしも通用しないことがあるということを。

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アメリカの大ヒットシットコムシリーズ、ビッグバン★セオリーのシェルドン・クーパーを演じているジム・パーソンズがCNNのインタビューでこのように話していました。

We are easily offended right now, and frequently about things that are ultimately and probably not that important.
いまやみんなしょっちゅう簡単に気を悪くしますよね。結局のところ、おそらくそこまで重要でもないことに対して。 

どういう文脈で語られているのかは、その動画貼っておくのでご確認ください。



この動画で補足説明をするとしたら:

まず、インタビューのテーマであるリバイバルした「ロザンヌ」シリーズのキャンセル問題については以下の記事をご参考に。ほかにもネットで「ロザンヌ」「打ち切り」とググればたくさん記事が出てきます。










それから、ジム・パーソンズ自身はビッグバン★セオリーに出演している俳優たちのなかではわりと異色のキャリアを積んできた俳優で、舞台でも古典を中心にやってきたらしく、それまでTVドラマにはほとんど出演していませんでした。ぼちぼちテレビドラマのオーディションも色々受けるようになったなかで、このシェルドン・クーパー役に抜擢され、その怪演で大当たり。また、数年前に、長年男性と付き合っているということをメディアに書かれたようなのですが、本人のリアクションは淡々としたもので、しかも1年ほど前には、その長年付き合ってきた男性と同性婚をしています。この動画でも、インタビューでオープンに話しています。

シェルドン・クーパーという役柄は、雑にまとめてしまうといわゆるアスペルガー症候群的な天才役です。人の心を読むのが苦手、自分の決まったルーティンで生活できないと動揺する、自分の専門分野はもとより何についてもやたら博識、記憶力がやたらいい、自分よりも頭の悪い人にはがまんならないしそれを隠せない、人の言葉に表裏がある、つまり嫌み"sarcasm"がよくわからない、自分が言ってることもいくら真実だとはいえ、嫌みに受け取られかねないことがわかららない……そんな性格なのに、出身地はイースト・テキサスという進化論も教えないような保守的な土地柄。母親も信仰心篤いクリスチャン(だけどテキサス人の血気盛んなところもある)。そんなこともあって、大人げないことばっかり言ったりやらかしたりするのだけど、それなりに納得できれば素直だったりするなかなか味のあるキャラクターなのです。

なお、ジム・パーソンズ自身もテキサス出身だそうです。

そしてビッグバン★セオリーの主役のレナード・ホフスタッター演じるジョニー・ガレッキもかつてのロザンヌシリーズに出演(ロザンヌの娘の彼氏役)、その、ロザンヌの娘役を演じたサラ・ギルバートもビッグバン★セオリーではレナードのカルフォルニア工科大学の同僚として何度かゲスト出演していますし、シェルダン・クーパーの母親メアリー・クーパー役のローリー・メトカーフも、ロザンヌの妹ジャッキー役としてエミー賞も受賞しているらしく(最近では映画『レディ・バード』の母親役でも評判が高かったようです)、ジム・パーソンズがいっしょに仕事してきた俳優たちが、リバイバルしたロザンヌシリーズに出演しているというのにこの騒動に巻き込まれてしまったという背景もあります。

実際にインタビューをみてくださったほうがより正確で確実なのですが、ざっくり要約しますとこんな感じなのかなあ。
逐語訳ではなく聞いたことを頭の中でまとめた要約ですのであしからず。

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(どうしたら人々を怒らせないで仕事を失わずにいられるにはどうしたらいいかとの問われて)

自分自身はいわゆるコメディアンではないので、何か面白いことを自分で考えて言わなければならない立場ではない。けれども、今のひとたちはすぐに気を悪くしてしまうように思える。結局のところ、そんなにたいしたことではないことなのに、頻繁に気を悪くしてしまう。

合衆国大統領でさえ、SNSで言いたい放題言っているなか、いまやそういった(過激な)発言するのに芸能人である必要もない。国民の投票で選ばれた人だから、何を言おうと人々は聞き流すのに、今回のロザンヌ打ち切りの件については、いきなり仕事がなくなるのだから、ひどいことだ。

どういう理由であれ、番組が打ち切りになるというのは大変なこと。実際、自分のドラマでいっしょにやってきた人もあのシリーズでは仕事をしているし、自分が直接的に知らない人であろうと多くのスタッフも働いているのにひどいと思う。

ローリー・メトカーフについても聞かれるまでもなく素晴らしい、そしてとても面白い俳優で(actorって言っていたと思います。今はactressとは言わないんですかね)国宝のような存在。もちろん彼女が主演の番組だってこれまであったし、仕事が与えられ続けるべき人。


(彼自身は同性婚をしたほどだったけれども)自分自身、住民は教会に熱心に通うような価値観のコミュニティのなかで育って、そうした人々には何か困っている人がいたら助けたいとか、周りの人々を気遣う優しさがあることも知っているし、驚くことに自分の中にもそういった「保守的な」価値観があることに気づくことがある。実際、結婚したのも、それが「意味があること」にはかわりないわけで、自分の父母のように「合法の」カップルになったんだとうれしかった。

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ロザンヌシリーズはどうも夫役のジョン・グッドマン中心にロザンヌ・バー抜きでスピンオフを作ることになったらしく、また、ビッグバン★セオリーは9月からのシーズンがファイナルだそうです。12年間つづいたのかな。全米でも屈指のロングランになったシットコムだそうです。

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許せる・許せないについては最近、いろいろな記事や本を読むことが多かったので、別立てにしようと思います。

ところで「ざんねんないきもの」の影響ってすごくありまして、いまや、「せつないいきもの」とか「どんまいないきもの」とか「泣けるいきもの」とかいろいろあるんですね。本の売れ行きの半分ぐらいは「タイトル」にかかっていると日頃実感しているので、思わず笑ってしまいました。







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